幼少時の回想

PlayStation2 ゲーム スマートフォン ドラゴンクエスト8

川沿いの教会に泊まると、夜中にトロデ王が目を覚ます。外に出てみると、木の下に佇むククールの姿が。
トロデ王 「……ククールよ。お前 何やら事情がありそうじゃな。」
ククール 「……。」
トロデ王 「話せば気が楽になる事もあるやも知れんぞ? まあ無理にとは言わんが……。」

ククールは一呼吸おいてから話し始める。
ククール 「……なんだろうね。こう うまくいかねえんだよな。あいつ……マルチェロとは。いっそ ほんとに血がつながってなきゃあ お互い幸福だったのかもな。」

場面が切り替わり、ククール幼少時の回想が始まる。


ドニの町方面から、俯き加減でマイエラ修道院へやって来るククール少年。


(ククールによるモノローグ)
――死んだオディロ院長は このへんじゃ名の知れた慈善家でさ。身よりのないガキを引き取って育ててた。まあ オレもその一人で……あのへんの領主だった両親がいっぺんに死んじまった後……金もない親戚もいない そういうガキにはあの修道院しか行く場所がなかったんだ。――

修道院の中に入る。背後で閉まった扉の音が、監獄に閉じ込められたかのように感じられたのだろうか、びくっとする。周囲にある数々の聖母像にも、小さなククールの視点からは威圧感を感じるようで、小走りに次の扉へ進む。

中庭の回廊で僧侶とすれ違うが、関心を示してもらえない。おどおどしているところに、廊下の向こう側からマルチェロ少年が歩いて来る。そして、微笑みを浮かべながら優しく語り掛ける。

DQ8

マルチェロ 「……君 はじめて見る顔だね。新しい修道士見習いかい? ひとりでここまで来たの?」
黙って頷くククール。
マルチェロ 「そうか……大変だったね。荷物は? それだけ?」
ククール 「あの……父さんと母さん 死んじゃったんだ。だから荷物なくて 他に行く所もなくて……。」
マルチェロはククールの肩に手を掛け、屈んで、
マルチェロ 「……僕も似たようなものさ。でも ここならオディロ院長やみんなが家族になってくれる。大丈夫だよ。」
ククール 「うん……。うん……でも……。」
そう言うと、ククールは泣き出してしまった。

マルチェロ 「……院長の所に案内する。ごめん。ほら 泣かないで。君 名前は?」
ククールは涙を拭う。相手に優しくされて嬉しかった様子で、笑顔になる。
ククール 「……ククール。」

その瞬間、マルチェロの表情が凍りつく。マルチェロは立ち上がり、冷たく言い放つ。
マルチェロ 「そうか 君……お前がククールなのか。……出て行け。出て行けよ。お前は……お前なんか 今すぐここから出ていけ! ……。……お前はこの場所まで僕から奪う気なのか?」
廊下の向こう側から、オディロ修道院長が歩いて来る。マルチェロはククールを置き去りにして、来た道を戻って行ってしまった。


(ククールによるモノローグ)
――勉強熱心で将来有望な騎士見習いのマルチェロは オレにだけ態度が違った。――

修道院長 「……すまぬな 幼子よ。今の話すべて聞いてしもうたよ。まさかマルチェロがあのような態度をとるとは。いったい何が……。……そうか。お前が……。」
オディロ院長はククール少年の頭をなでながら続ける。
修道院長 「マルチェロには腹違いの弟がいると聞いていたが……。そうか お前がククールなのか。すべては時間が……ここでの暮らしが解決するだろう。……さあおいで ククールよ。ここが今日からお前の家になるのだよ。みなに紹介しよう。」


(ククールによるモノローグ)
――その後しばらくして オレは初めて知ったんだ。死んだ親父にはメイドに産ませた腹違いの兄がひとりいたのだと。それがあのマルチェロで……オレさえ生まれなければ 跡継ぎは奴のはずだったのだという事を。マルチェロとその母親は オレが生まれた後 無一文で屋敷を追い出され すぐに母親は死んでしまい……身よりのなくなったあいつは この修道院でオレと親父を恨みながら育ってきたんだ。ずっと。 ――

回想シーンが終わり、ククールとトロデ王の画面に切り替わる。

ククール 「ほんと 寝耳に水の話でさ? 幼く純真なククール少年の心は こっぴどく傷ついたね。でも まあ……ね。クソ親父はしたい放題やって さっさと死んじまった。奴には憎める相手はオレしか残ってないんだ。……わからないでもないんだ。だから いい機会だったと思うよ。近くにいるから 余計いらだたせる。ちょうどマイエラ修道院のきゅうくつな暮らしにも飽き飽きしてた頃だったし。」

ククールはサバサバした表情でそう言い、寄り掛かっていた木から身を起こす。
トロデ王 「ククール お前……。」
鶏の鳴き声が聞こえる。
ククール 「ずいぶん長話になっちまった。ほら そろそろ夜明け前だぜ?」
ククールはトロデ王に背を向け、軽く手を振って、先に教会の方へ戻って行く。
トロデ王 「おい!!」
トロデ王は何か言いたそうにしていたが、ククールの後を追うように教会へ戻って行った。

fin.


memo

このムービーはククール加入以降、船入手迄に「川沿いの教会」に泊まると発生する。以降は見ることが出来ない。ククールや他キャラクター死亡時も可で、ムービー終了後はククールのみ蘇生する。