ちはやふる 第31巻(第159-163首)考察

漫画

  • 表紙絵:太一と新、ポピー
  • 表紙袖:このたびは ぬさもとりあへず 手向山 もみぢの錦 神のまにまに #24
  • 巻末漫画:太一母と新母による映画レポ、映画版小説の冒頭部も掲載

以下、伏線と名言の個人的メモ。

第159首

「たぶんおれ 千早がおれのことで傷ついてたらいいって どっかで思ったんだ 最低で 戻れない」

引き続き、全国大会準決勝。肉まんくんの回想にて、太一が肉机コンビに振られたことを報告していたのが判明。二人とも、もっと突っ込んで聞いとけよ! 尚、「うるう年のマーチ」の作詞作曲は軽田伊能知で、瑞沢校歌と同じ。

肉まんくんの独白はどう解釈したら良いのか分からない。鉢巻の文字を見て、振った相手の名前のを何で、ってな顔にも見えるし。あんぽんたんだからそっち系じゃなく、満足なかるたライフに飢えているという意味なのかな。千早も太一もいろんな人に心配はされど、助けてくれる人ってお互いの他には案外いないような気がするから、肉まんくんの出番を期待したい。

読まれた札は 「かぜそよぐ」 「あらざらん」 「つくばねの」 「あいみての」 「たまのおよ」 「ひさかたの」。

第160首

「終わってないですよ あなたたち 優勝しか眼中にないほどいい気になりましたか 3位決定戦がありますよ あなたたちが大好きなかるたがもう一回できるんです」

準決勝終了。机くん達も随分強くなったなあと思うけれど、それより強かった太一が抜けた穴はやはり大きかった。「いちばん強いのは北央学園」は第10巻第58首より。最後のコマで見えている札は「せをはやみ」。札の周りに渦が巻いているような描写。

第161首

君は 持ってるものを 無視しすぎだ

藤岡東との三位決定戦、千早と新の対戦。ただ、かなちゃんと菫のモノローグ中の「この対戦の本当の意味」がいまいち分からん。二人の関係に変化が起きることの予告みたいなものか。小学生時の約束は、千早と新の「対戦」ではなく「再会」だからとっくに果たしている。そもそもかなちゃんも菫も、千早達の「約束」のことまでは聞いていないだろう。

「持ってるものを無視しすぎだ」での君=太一以外は、該当者がたくさんいそう。太一が自分がいなくても強いじゃんとか考えてるのを知らず、「あなたがいないせいで瑞沢負けたわよ」とさっくり否定するママン。出来るコという印象の強い太一だけれど、周防さんと比べるとやっぱりまだ幼いね。

登場した札は、見開きページでのド迫力ファーストショットで吹っ飛んだ「やえむぐら」札くらい。寂しい家に人は来ない、という意味。

第162首

根気強く粘り やり続ける以外に 自分を変える道はない 人を 変える道はない

千早が新と全く視線を合わせない、目を向けていない。吉野会大会の太一戦とは大違いな千早の態度に批判レビューが多いようだが、初期から予定している描写に過ぎない。第3巻第12首で太一が、第17巻第93首では千早自身が二人の試合を想像している場面があり、いずれも千早が新を見ようとしていないのだ。

千早の指先でフォーカスされている札は 「いまはただ」 で、思いを断ち切ることを相手に伝えたい、という意味。ただ、その時に取ったのは別の札で、隣に並んでいる 「うらみわび」かと思われる。こちらは、不本意な恋の行方を嘆く歌。読まれた札は 「ひとはいさ」、その次がフォーカスされていた 「いまはただ」、以下 「あさぼらけ・う」 「あらしふく」と続く。

言われてみれば、最近「ちは」は畳に並んでいなかったね。太一と新が対戦した高松宮杯以降は描かれていない。千早の試合だと、第19巻第100首の吉野会大会猪熊戦が最後か。その後の東日本予選で太一が既に取れなくなっているが、千早も吉野会大会の決勝がターニングポイントだったのだろうか。

太一登場時、接点が無い筈の田丸も何故か皆と一緒に驚いたような顔で見ている。第27巻第142首で原ピーが「噂のイケメンの先輩」と言っているし、田丸も顔ぐらいはチェック済みだった?

第163首

千早が あの日取った一枚 今日に続く一枚 ずっと取り返したかった 音と札だけでない 目の前にいるのは おれやよ

新は「目の前にいるのはおれやよ」、高校一年の太一も第3巻第12首で「目の前にいるのはおれだろう?」と、いずれも心の中から語り掛けているフレーズ。千早は太一を見付けた時、何を思ったのだろう。相手に目を向けていない無の状態から、ただ正気に戻っただけなのか。名人戦挑戦者決定戦の時のように、小学生の自分は新、高校生の今は原田先生を応援、というパターンで、新ではなく今は太一、なのか。新については小学生新をイメージした上で「新とまたかるたができる」と来たので、好きとか以前の、かるた友達という原点に帰ったのか。

登場した札は、千早が隣席の札まで散らした時の 「つきみれば」、新が千早陣から取った 「おもいわび」と送った 「しらつゆに」、新が連取した 「あきかぜに」と送った 「すみのえの」、新が満を持して抜いた 「せをはやみ」、空札の 「ちはやぶる」、千早が取り逃した 「ゆうされば」、そして恐らく作者ミスなのだろうが何故か再登場、千早が連取された 「あきかぜに」、読みは描かれていないがセイムの札は恐らく 「ありあけの」、勝利を決めた 「おおえやま」。

目の前にいる千早と札に拘り過ぎて試合を落としてしまった新だが、最後の「おおえやま」で手に動きがないのが気に掛かる。この札は新と太一に見てと訴えての「助けがなくても自分で出来た」という千早の答えかな。歌には「返事がない」といった内容も含まれている。

このたびは

百人一首は31音で構成されており、この第31巻が重要な位置付けになっていると作者が述べている。描かれているポピーは赤のみで、花言葉は「いたわり」「思いやり」「恋の予感」「陽気で優しい」。「このたびは」は、作中には登場しない。

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