ちはやふる 第34巻 考察

漫画

以下、伏線と名言の個人的メモです。(随時修正)

第174首

「浪人してまでクイーンになってなんになるっていうの?」

高校三年生の夏、受験勉強も本格化。舞台が東京に戻った途端、新のことを印象付けた前回描写も、ここ数カ月のごたごたも切り落として捨てたかのような、千早と太一の親密度を見せつける回。太一の動向はまだ読み取れないが、千早を気遣う様子が随所に伺える。部室で邪魔が入った場面は、再度謝り直そうとでもしたのかな。千早も太一の言葉や表情を都度気にしている模様。

窓の外に太一が立っているのは、全国大会前に気配だけだった第30巻第154首との対比。蝉の声といえば、第17巻第92首で千早が新に電話した時に、彼が違う世界にいるようだと感じさせられたエピソードがあった。今回はちゃんと太一が居る。思い出が積もり積もった部室に戻って来た太一。第18巻第95首の「迷ったら自分の中に積もっていってほしいのはどっちか」を連想させる。片や、前巻第170首で思い出のアパートの部屋を出た新。千早母は「クイーンになってなんになるっていうの?」で、太一母も第20巻第108首で「かるたとか名人とかなんにもならない」と同じことを言われている。対比が多い。

「目ヂカラSEARCH」の作詞作曲は、瑞沢校歌や第31巻第159首でも登場した「うるう年のマーチ」でお馴染み、軽田伊能知先生。幅広いジャンルでご活躍。千早の前での太一の笑顔は久しぶり。太一は「大江さん」「花野さん」なのに、「田丸」は呼び捨て。作者ミスかもしれないが、第31巻第162首で田丸が太一を見て驚いていたし、過去に試合で接点があったのかな。ウザい奴として印象深かったとか。

太一がかるたを続けていると千早が知ったのを回想する場面、肉まんくん達が練習Tシャツ姿なので、全国大会出発前と推察される。それで千早は「気配を感じる」ようにまでなったのか。ならば、第32巻第165首にて「もう一緒にかるたはできない」と泣いたり、太一の「次は試合で」にあんな驚き方をすることもなかろう。この辺りの千早の感覚が分からない。いや、彼女については理解出来ないことだらけですけどw

第175首

「聴力にもピークがあって 千早はいまかもしれない いつか”感じ”なくなる」

第30巻第155首と第31巻第161首で収録していた、かるた特番の放送日。ピアニストの例えは分かり易い。周防もそれなりに努力していたことが明らかになり、周囲の目も多少変わればいいね。

登場した札は音サンプルとして「さびしさに」。小さな神様~と言っている詩暢の背景に、「なにわえの」「あさぼらけ・う」「かささぎの」「おくやまに」「はるすぎて」「なげけとて」。詩暢の「神様」は札で、千早は第32巻第166首で新のことを「神様みたいに思ってた男の子」と過去形で言及。詩暢の「離れずに生きて行く」に対して、千早はどう考えたのか。

太一の「いつか”感じ”なくなる」が繰り返し出て来たのは、次の大会を回避している時間的猶予が無いのを強調しつつ、じきに恋愛感情も薄れて行くだろうと自らに言い聞かせているような描かれ方。机先生の格言に従おうとする千早だが、やりたくないこと=勉強って、先生になりたい人が言ってちゃ拙いだろw

第176首

百人一首に 黒い富士を詠んだ歌は あったかな

周防に音源を分けて貰いに来た千早。そんな図々しい願いは断られたものの、須藤の協力を得られそう。しかし、この期に及んで彼が絡んで来るとは、全く想像していなかったよ。

太一の「ダメだ」連呼は、第27巻第142首で千早が図書室に入って来た太一を見て連呼していたのとシンクロ。千早の「一人」はトラウマになっているようだ。そんな中でも「楽しい」ことを見い出そうとしたのに、周防名人に思考を停止させられた。

新のかるたについては、第7巻第37首で広史さんが「周防名人はものともしない」、第20巻第107首で周防が「テンション上がらない」とも言っている。自身の弱点改善に繋げるだけなら良いが、白波会対策として考えるのは危険。第22巻第114首で原田先生が新のかるたを研究したものの新しい面を見せられたらどうするのか、と広史さんが心配していたのと同じ状況になりそう。

第177首

「普通に就職して かるたも続けて ずっと続けて じじいになっても続けて 運営のほうもいろいろやって 後輩のかるた部のやつらが 安心して楽しくかるたやれるように 仕事しながらやる それがおれの思う文武両道」

須藤とタッグを組んだ千早。須藤はかるたに対しても意外なレベルで熱くて真剣だ。千早の口から太一の名前が漏れたことに、須藤は何か感じることがあった様子。 卑怯といえば太一に纏わる言葉として何度も登場しているけれど、周防のかるたを指すのだろう。そもそも千早は太一をそう評価していないと見る。

詩暢は害悪母のお陰で迷走中。その詩暢が走っている場面、手書きで何度も「遅い」と描かれているが、第175首で太一は彼女のことを「運動神経がすごい」と評している。走るセンスだけが無いのであって、かるた面に特化した反射神経の持ち主?

明星会で読まれた札は「わすらるる」「めぐりあいて」「ももしきや」「よのなかよ」「こいすちょう」。テレビ収録時は「ひともおし」、相手に取らせたのが「しのぶれど」。札の指定があったのなら変更すべきところ、制作側や詩暢母の無知ゆえか、詩暢本人があえてこの札を取らせたのか。本当の自分じゃない、というメッセージを込めて。詩暢の指先にあるのは「きみがため・お」、その隣は「おぐらやま」。他のコマで畳に描写されているのは「おおえやま」「せをやはみ」、敵陣に「こころにも」。

第178首

「綿谷新くんにも負け続けて 周防くんとも戦ったことがないのに 最強のつもりか?」

伊勢先生は正しいのだろうけれど愛情を感じられない。詩暢祖母と似ている。詩暢と周防が対戦したことがない件は、第7巻第41首でも周防が話していた。つまり、詩暢は周防のかるたを知らない? 但し、詩暢は第32巻第167首の対千早戦を見ても相手の動きに惑わされてはおらず――何が弱点なのだろう。

千早の「ちは」の解釈は、まだまだな様子。廊下に立っている太一をこっそり見ているだけ。周防は詩暢からの電話直後はあわあわしていたものの、流石終始大人である。詩暢の元にすぐ駆け付ける決断力と経済力、千早への対応も含め。

冒頭で青ざめる詩暢のコマで散る札は「これやこの」「きりぎりす」など。練習中に並んでいた札は「しのぶれど」などたくさんあるので省略。

さびしさに

裏表紙で紹介されている歌は、テレビで取り上げられた「さびしさに」。

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