ちはやふる 第38巻(第194-198首)考察

  • 表紙絵:千早、金魚
  • 表紙袖:みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらむ(第195首)#27
  • 巻末漫画:筑波宅男子部員パジャマ会、花野宅女子部員パジャマ会

以下、伏線と名言の個人的メモ。

第194首

こんな揺さぶり方があるのか まつげ君 おそろしい おそろしい メガネ君は「相手の邪念」ははらいのけられるが 「自分の邪念」に耐性がない

東西戦開始。太一が小学生時代の自分になり切っている。昔を知らない者には、気が触れたかと疑いたくなるような、突然のキャラ変。新は高校選手権個人戦二連覇だし、五段という段位からも格上なのは事実だが、太一をナチュラルに格下扱いしていたことに気付いた様子。しかし、太一は強敵揃いの東日本代表にまでなったわけで、東日本代表=強い、太一=強い、という図式が抜け落ちているように思える。新は太一と戦えることだけで満足していないか。

読まれたのは「おおえやま」「あしびきの」「つくばねの」。

第195首

自分の実力はいきなりは変わらない 同じようにやっていて勝つためには 相手に遅くなってもらうしかない

挑戦者決定戦一戦目、熱い戦いが続く。千早との実力差を認識しつつ、全力を尽くそうとしている結川。新は収めた筈の「邪魔や太一」という感情と共に再ブラック化。穴ボコだらけの姿で描かれている太一は、第29巻第149首にて母親軍団が「子供は穴ボコだらけなのに一人で生きているみたいな顔をする」と話していたのが連想される。

登場した札は「あわじしま」「おくやまに」「きみがため・お」「みちのくの」「みかのはら」「ちぎりきな」「ちぎりおきし」「なつのよは」。

第196首

強い相手は怖いけど 自分を卑怯と思うことのほうが ずっと怖い

挑戦者決定戦、第一試合は千早と新がそれぞれ勝利。新は自分からはモメたことがなく、モメられたら譲り、それでもちゃんと勝って来ていた。太一戦に限り、相手にモメられても引かず、唯一自分からモメてみた今回ばかりは実は相手の取り、しかも勝負が決まる局面だったので、しこりが残ってしまった。また、太一が全て譲っていたという経緯もあり、三枚差での勝利は微妙にも思えてしまう。

正直に申し出て負けた結川と、悪意は無かったのに申し出たことで勝利を得た新、という対比も辛い。しっかり見ていた女性審判と、ボンクラ?な男性審判の差も残念。最後の場面で審判を求めていたら、判断がどう付いていたのだろう。自分からモメる割に結局譲っていた太一は狼少年のようだったし、珍しく「あの新」がモメたぐらいだから新の取りかな、くらいの先入観を持ってしまっていたりするのか。

通りすがりのお姉さん達の「(百人一首は)めっちゃ強い味方やで 助けてくれる」は、第4巻第19首で太一が千早に言った「ずっと連れていく いちばん近い味方なんだよ」を思い起こさせる。

読まれた札は「わすらるる」「はなさそう」「よもすがら」「こぬひとを」「あいみての」「わびぬれば」「みかのはら」「ももしきや」「ほととぎす」。太一が取った「こぬ」の表側がわざわざ描かれているのが気になる。新陣にあり続けていた「ちは」の最終的な行方は不明。

第197首

やめろよ 千早 雪なんて思いだしたくねーんだよ 邪魔なんだよ

勝利したものの、後味が悪い新。気になるのが、由宇の弁当。当日始発で現地入りする会員に託したとして、受験生なのに超早起きして弁当を作り、でも新はその意味も何も感じてなさそうで。試合が終わってから、考えることになるのだろうけれど。

第198首

16歳の君にあのとき言った言葉 忘れたわけじゃないだろう? ”速く取るのをやめなさい”

クイーンとの練習の成果で、持てる力以上のものを見せ始めた結川。第6巻第30首にて原田先生が千早に言った「速く取るのをやめなさい」が再登場。確かに最近の千早は、第34巻の音声データの話以降、第177首で須藤に「速さを磨きたい」と言ってみたり、理音との試合、猪熊と練習をし、「感じ」勝負路線に走っていたように思う。一戦目でそれを実践して勝利したが、S音を聞き分けて即座に手を伸ばすのではなく、あの時学んだ「読手の呼吸に合わせてぴったり取る」を実践すべきが今だ。そうなれば詩暢も、千早と戦いたい、と思ってくれるだろうし、良い勝負も期待出来るのではないだろうか。

牧野読手といえば、鼻濁音。若い頃の原田が苦手とし、猪熊もクセを指摘し、千早も実際に聞いて戸惑っている。彼女の発声は「感じ」の良い選手には相性が悪いらしい。しかし、専任読手音声データでは気付けなかったかもしれないが、千早は何を今更?

と思ったら、彼女が初登場した第22巻第116首の前年度挑戦者決定戦では、千早は周防と窓の外から観戦しており、室内に入ったのは恐らく終了間際。二度目の登場は、第33巻第169首の千早三年次の全国大会個人戦で、千早は敗退直後に爆睡し、室内に入ったのは途中から。西田の身体を張った取りに気を取られ、まともに聞いていなかった模様。

登場した札は「おくやまに」「やすらわで」「あさじうの」「ゆうされば」「ゆらのとを」「ひさかたの」、S音で読まれたのは恐らく「しのぶれど」、空札で「はるのよの」「ありあけの」「やまがわに」など。

みかのはら

帯宣伝は「約束の場所へ。」

posted on May 13, 2018  娯楽